ある兄弟の物語

あるところにカオス・ラウンジという兄弟がいました。
彼らは努力はしたくないけれど、有名になってちやほやされてお金持ちになりたいと思っていました。
ある時、他人の畑から作物を盗みそれで絵を作ったところ大層誉められた事に味を占め
毎日他人の畑から作物を盗むとせっせと現代アートを作っておりました。
次男の梅はいろいろな人の畑を荒らしてはその作物をぐちゃぐちゃに混ぜて、
三男の嘘は他人の作物を踏んづけたり切り刻んだり水で溶かしたり、
二人より絵が描けないが口がうまい黒は二人の作品がすごいとおおぼらを吹いていました。
それを見ていた職業不詳のアズマさんは「これは金になる」と思い、知り合いの八百屋のピクシブさんと新聞屋のビジュツテチョウさんを呼び寄せました。
ピクシブさん、彼らにアートの材料をあたえておくれ」
「わかりましたよアズマさん」
そういうとピクシブさんは、自分の店の商品を、制作者の許可無くカオスさんに自由に使っていいことにしました。
「ビジュツテチョウさん、彼らを宣伝してあげて」
「わかりましたよアズマさん」
そういうとビジュツテチョウさんは、自分の新聞に超すごい現代アーティストとカオスラウンジを載せました。
事情を知らない人々は「すごいのかな?」と疑問に思いつつも次第にカオスラウンジは有名になっていきました。
すでにカオス・ラウンジ兄弟の作品を手に入れていたアズマさんとピクシブさんとビジュツテチョウさんはウハウハです。
彼らはカオス・ラウンジをどんどん宣伝しました。
カオス・ラウンジ兄弟はどんどん有名になり祭りをどんどん開催。兄弟もうっはうはです。
そんなある時2011年、アズマさんはカオス・ラウンジ兄弟の梅に言いました。
「会社に飾るからでっかくてすごいの描いてよ」
梅は快諾しました。
しかし有名になった影響で梅は慢心していました。
ただでさえ無い技術もモノを探す目も常識も何もかも失っていたのです。
彼は適当に作品を作りました。
適当に見つけきた珍しい芋をただただ貼り付けました。
それを見てアズマさんは言いました。
「マスターピース!」
梅は喜んで芋を作っている村をみんなに教えて回りました。
芋をおいてある倉庫も教えて回りました。
そんな彼らを芋を作っていた村人たちがついに見つけました。
「勝手に持って行くな!勝手に畑を教えるな!」
彼らが怒り心頭なのを梅は理解できません。
困った梅は黒に任せました。
黒は芋を作っていた村人たちに言いました。
スーパーフラットアーキテクチャ
黒の不思議な言葉に芋を作っていた村人は意味がわかりません。
「持って行っちゃいけないって看板はあるけど柵がないから持って行っても問題ない、ごめんねはない」
そんな黒の言葉にますます怒りがわいてきました。
嘘はただふわふわしていたので無視しました。
そんなとき芋を作っていた村人の所に、村長が村から追い出した変わり者がやってきました。
変わり者は、毎日毎日食事もとらずただただ知らないおっさんの絵を描いては踊っているような変わり者です。意思の疎通はできません。
だから村長は彼らを追い出しました。
そんな変わり者はおもむろにカオス・ラウンジ兄弟の前に立つと彼らの顔を紙に描き始めました。
そして踊りました。
描いては踊り、踊っては描き、それを数日間続けました。
いつしか村人も一緒になって踊り始めました。
カオス・ラウンジ兄弟は怖くなりました。彼らの浅はかな知識では理解できません。
彼らは言いました。
「許してください。」
変わり者は答えました。
「こちらこそ許してくれてありがとう」
意思の疎通は不可能でした。

そんな中、他の村の人々が彼らが行った祭りの状況を調べていました。
調べれば調べるだけ、他人の作物を踏みにじるひどい祭りばかりだとわかりました。
祭りに中には、お金を偽造していてそれを他人に売っているものもありました。
ふわふわしているだけだと思われていた嘘も下衆であることがわかりました。
作品を作ることを依頼していたアズマさんはいろいろな人からの質問に
「ブロック!ブロック!!」
と叫んで耳をふさぎました。
とてもいい年した大人の振る舞いには見えません。

そんな時、ビジュツテチョウさんが宣伝した記事の中に、使ってはいけないものを使いまくった作品を見つけました。
巨大企業の看板、昔の天皇陛下の写真、いろいろな人の作ったモノ、etc。
調べていた人々もどん引きです。
カオス・ラウンジ兄弟に問うても無視ばかり。
しょうがないので法律に基づいてそれらを通報しました。

ピクシブさんも彼らは調べました。
ピクシブさんはいろいろな人からの質問を無視しました。
そこで人々は策を練りました。
ピクシブさんの所には売っていい物といけないものの基準があります。
もちろんカオス・ラウンジ兄弟は売ってはいけないものです。
同じような売ってはいけないものと一緒にピクシブさんに言いました。
「この二つは売ってはいけないものだよ、どうするの?」
ピクシブさんはカオス・ラウンジ兄弟の作品は残しましたが、もう一つは消してしまいました。
カオス・ラウンジ兄弟を匿っている疑いは濃厚です。
そんな疑いの目を感じたピクシブさんですが、カオス・ラウンジ兄弟を捨てることができません。
彼らの宣伝にいっぱいお金を使っているからです。まだまだそれを回収できていません。
そこでピクシブさんは思いつきました。
「じゃあ両方許します」
それを聞きつけた者がいました。
村から出ていた変わり者です。
「許された・・・」
変わり者は感激に震えました。今まで許されなかった彼らが許されたのです。
これまで6年の間作り続けた知らないおっさんの絵を手にピクシブさんの家にやってきました。
現代アートと叫んで絵を描いてはピクシブさんの家に投げ込みました。どんどん投げ込みました。
これからもずっと投げ続けます。これからもずっと。

まだまだ物語は終わっていません、これからやってくるのです。
巨大企業による法廷闘争が。
カオス・ラウンジ兄弟は許されるでしょうか?
アズマさんやビジュツテチョウさんやピクシブさんは許されるでしょうか?
それには変わり者がこう答えるでしょう。
「絶対に許さないよ」と。